精神的な問題。
病人を支えている家族の悩み。
どこの専門医に行っても「異常なし」の苦しみ。
リビング・ウィルの作成。
複雑な病歴のある新規患者。
そういう相談は簡単に終わらせる訳にはいかず、診療時間後に延長して話したり、更に患者さんが帰った後も自分で色々と調べたり。
なので、それが連日になると、流石に大変。
夜中までかかって仕事を片付け、もう濡れた髪を乾かす力もなく、ベッドに倒れ込んで、多分秒単位で寝付いた。
それでも昼休みには大急ぎで、妹こぐまの晩御飯としてクリームシチューを作っておいたの、倒れ込む前に「妹こぐま、お鍋ごと持ち去って、空っぽにしていたよ」と聞いて、嬉しい充実感。
さて、何故、時間外延長してやるかと言うと・・・
公的保険医療では、そういう長い相談に対して特別に支払われる報酬というものが、ないに等しい。建前上は一応あるのだけれど、患者数に対する上限が厳しくて、大半は請求できないし、たとえ請求できたとしても、たったの16.31ユーロ。20分以上かけての心療内科相談でも、24.60ユーロ。
そこから税金や経費を引いて、手取りは3分の1位と言われているので、残るのは雀の涙。
プライベート保険であっても、存在するのは10分、心理カウンセリングみたいなものでも20分で20.11ユーロまで。
それ以上の長さは、ファクターを上げて調整するのだけれど、それも上限があるので大した事はない。どれ位大した事がないかと言うと、ファクターを最大限まで(!)上げても、30.60ユーロとか、条件が揃えばごくたまーに61.20ユーロとか。しつこいようだけれど、手取りじゃないよ。
複雑な患者さんだと、1時間位かかる事もままあって、その金額。
スタッフがいる時間帯というのは、スタッフの時給が必要になるので、それでは赤字になってしまう。
それでも時間を取って丁寧に説明してくれる専門医もいるけれど、無理でもそりゃまあ仕方ないよね、と思わざるを得ない。医院を潰さないためには、そっちが普通だし、その時間を使ってより多くの患者さんを診てくれる方が、こちらとしても有難い。
それで、時間を取って向き合うのは、家庭医の仕事になる訳。でも、家庭医だって、医院を潰す訳にはいかない。
なので私は、時間がかかりそうな相談は、最初から診療時間後にかかるように予約を入れる。私一人なら、赤字にはならないもの。儲けがないだけなら、まあボランティアだと思えばいい。
但し、それは私の時間とエネルギーを奪う事。
医療の底辺は、そういう医者の善意に支えられている部分があって、それを当然の前提にされたり、先日のメルツ首相のように更に貶めてきたりされると、かなり堪える。
* * * * *
最近私に元気をくれたもの:
ドイツの国の予算措置の状況諸々は
返信削除分かりませんが、医療者の方々の
厳しい状況には心が痛みます。
善意に乗っかりながら、
それでいて貶める様な
事を言われたら、
そして報酬も
減らされたら、
誰だって嫌になりますよ。
事態が好転して行って欲しい。本当に。
ひかりさん、こんにちは。
削除優しいお言葉、ありがとう~。
今迄のドイツの医療制度は「ちょっと甘い?」という位弱者に優しくて、でもそういう余裕があるからコロナの時も全体的には破綻しなくて、私は素晴らしいと思っているんです。
ただ、その一部は医者の善意による無償の行為によって成り立っていて、どんなに締め付けられても目の前に苦しんでいる人がいたら「もう、やーめた」とは言えない医者の方が多くて、それを解っている政治家につけこまれている気がします・・・。
くまさんのような家庭医さんが身近に居てくださる、村の住民は幸せですね!皆志を持って、大変な勉強・試験・実習を乗り越えられてきたお医者さんたち、本来ならば、皆がくまさんのようであるといいなぁ、と思いますが、どこの世界でもいろんな方がおられますよね。大変な職業と理解しつつも、その言い方はないだろう!その診察はないだろう!という経験はどなたもお持ちだと思います。にしても、Merzの物言い…。あり得ません。何様だと思っているんでしょう。そういうところですよね、彼が嫌われる/信頼されない理由。
返信削除Naoさん、こんにちは。
削除有難うございます!
頂いたお言葉に恥ずかしくないよう、頑張ります。
まさに、善意で成り立っていると思います。
返信削除日本も医大に地域枠があって、毎年拡大しています。家庭医というわけじゃないけど、地域枠で入学したら、卒業後、その都道府県に留まって、地域医療に関わることを約束する。その代わり、入試がちょっとだけ配慮されたり、奨学金がもらえたりする。
その一方で、卒業後すぐに美容医療にすすむ「直美」も問題になっています。
それもこれも、医師の待遇や制度が悪いから。
なんとかならないのかな?と思います。