基礎もない上に建っていて、木もボロボロになっていたのが、これで判ると思う。
もともと納屋というのは、上等な木は使っていないし、住居よりも軽いので、ざっと建ててある。だからもう救いようがなかった。
ただでさえ昔の家は天井が低く、うちの母屋も私が手を伸ばせば天井に触れる位。しかも断熱など特にしていなかったのでその分の厚みも取られ、高さが足りない!のオンパレードなので、基礎を作るためには一旦掘り下げなくてはならなかった。納屋の下には、丸天井の地下室がこれまた基礎なしで鎮座している。この地下室と前室の石壁を残す事を条件に、州から助成金が貰える事になった。
ところが古い丸天井の地下室というのは、工事を始めたら崩れてしまう事は結構よくあって、そうなると土砂で埋めてしまうしかないのだけれど(そして、それ迄に注ぎ込んだ工事代が全て無駄になるうえに、助成金も出なくなる)、埋めるとまた家のバランスが変わってしまうので、埋めれば済むという訳でもない。それで工事前に静力学の専門家が来て、色々計算してくれたものの、本当にどう転ぶか判らない感じだった。
隣家に近接している側は、新築なら許可されない近さだけれど、元々そのように建っていた家の「改築」なのでOK。但し全て防火壁にして(なので外壁にも木材は貼れない)、窓無しにすること(火事になると窓から火が吹き出すので)が条件。
一番左下の写真が、買った時の状態。はっきり言って、通り(北東)側から見て美しい家ではなく、第一印象は「壊して建て直しだな」だった。
それが、この家の歴史を知り、納屋に惚れ込み、何とかしたくなった。凄腕の工務店の社長さんも、最初は「うちはもう予約が一杯で絶対に無理」と言っていたのに、家や納屋の中を歩き回るうちに夫と意気投合し、段々その気になってくれて、手が空くのを待てばやって貰える事になった。
母屋が5階のところを4階にしてもまだ高さが足りない位で、更に屋根の勾配があるので最上階は狭くて物置にしかならなかったのだけれど、そこに大きなドーマーを作る事で居住空間を作る事ができたし、家に顔がついたような感じになって、とても気に入っている。
でも、このドーマー以外は、家のシルエットは変えていない。上の写真を見れば判る通り、この家は村の中心部のよく目立つ場所に建っているうえ、庭(南西)側はいい形をしていたので、これは変えたくなかったのだ。
しかし、この「変えない」「残す」というのが、本当に金食い虫だった。
本当は、屋根だけでも母屋も一緒にやってしまった方がいいと言われていたのだけれど、もう全然お金が足りなくて追加ローンを組んだ位なので、これで精一杯。
でも、今は母屋は物置きとして使えるし、医院の拡張でも二世帯住宅でも、ぶち抜いてエレベーターをつけるとか、したくなったら何でもできる訳だから、中途半端にお金を注ぎ込むよりは、こうして手つかずで置いておくので正解だと思う。
そして本当にどうしようもなくなったら取り壊す事も可能なように、配電、配管など全て新しい方に入れ、完全に旧母屋から独立させた。
以前にも書いたけれど、外壁の木材は、選んだ見本ではピンクベージュがかった淡い淡いグレーで、この外壁材を持って来られた時には、何かの間違いじゃないかと思った位で、屋根や窓の色に対してきつ過ぎる!これなら屋根は茶色にしたらよかった!と大ショックだったのだけれど、何年か経てば見本のように色褪せていく事を願って、只管待っているところ。
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元は納屋かぁ。昔の造りを残しつつの改築って、大変な苦労!
返信削除掘らないといけなかったんだね。
気が遠くなるような感じだったとこからの完成は、
喜びもひとしおだね!
mさん、こんにちは。
削除そう、堀ったんですー。で、掘ると地下水が出て来たり崩れたりというアクシデントが起こり得るので、ドキドキでした!
たいへんな工事でしたね。でも素晴らしく素敵なお家になりましたよね。今が良ければすべてよし。ってシェークスピアは言っていません。(笑)
返信削除うふふ、シェークスピア、何で言い忘れたの?!
削除すっかり出遅れてしまいました。やたらと時間が短く感じる今日この頃、追われる雑多な用事に身を任せていたら、いつの間にかまた冬が来そうな季節になってしまい、「はてな?」と気がつきました。
返信削除「更新がない?」「やめちゃったの?」と思ったら、引っ越しされていたんですね。見逃した記事を追々読ませていただき、またよろしくお願いいたします。(^^)/
上のコメント、川越です。どうもよくわからず匿名になってしまいました。すみません。
返信削除川越さん、こんにちは。
削除いらっしゃいませ!やめません、やめません。
こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します!