2024/02/29

最後の山



暁月



遂に来ました。
2021年(!!)分の納税通知書。
書類を提出してからも質問が来たりして、色々やり取りがあって、何と今頃。遅れるのは構わないというか、逆に非常に有難かったのだけれど、でもやっぱり蛇の生殺しで。

今は税金も予測で先払いしているのだけれど、2021年は先払いをしていなかった最後の年で、税計算が済んだら一年間分の税金を後払いしないといけない。
銀行口座をマイナスにしたら支払える金額だけれど、それは高利だし精神衛生上よろしくないので、税務署に分割払いのお願いをしたら、まさかの却下。そして、さっさと引き落としていきよった!
更に、税計算が済んで年収額が確定したら健康保険料や医師会費なども計算し直され、「待ってました」とばかりの仕事の速さで、あちこちから後払い請求がどどっと届いた。どれも一年間分だから、結構な金額。

でもまあ、どかんとマイナスにされてしまったら、それはそれで肝が据わるもんだな。開業当時はもっと大変で、マイナス限度枠いっぱいまで使って、もう一切余裕がない状態から這い上がったのだから、ちゃんとできる筈。

 * * * * *

後払い分の事よりも、月々の普通の収支で口座のお金が増えていかなくなった事の方が、実は深刻だと感じている。だって当初の予定では「後払いの頃には、それ位支払える余裕ができている筈」だったんだもの。
その原因の一つは判っていて、スタッフを増やしたから。やっぱり月給(+保険・年金)一人分って、大きいよ。そしてもうすぐ、現在研修中のスタッフが一人前になって、給料も一人前になるので、更に。

でもね、いいスタッフは本当に宝。募集をかけてもそう簡単に見つけられるものじゃないので、出会った時にきちんとキープしておくのが、後々のため。

うちは今は、スタッフ全員が定時どころか逆に契約以下の労働時間に収まるようになった。勤務時間がマイナスでも給料は引かないので、それは経営上は「無駄遣い」で削るべきなのだろうけれど、タイムカードの時間稼ぎにダラダラ仕事されても誰の得にもならないし、私としては「勤務時間が僅かにマイナス」位が理想かなと思っている。
今とてもいいチームになって、スタッフが疲弊せず余裕を持って働けていて、病欠とか用事があるスタッフが出てもさっと自主的にカバーし合ってくれたりして、皆の気持ちに崖っぷち感がない。だから患者さん達への対応にも余裕があって、丁寧に説明しているのが聞こえてくる。これって、凄く大事な事だと思う。
なので、そこを削らなくて済むところまでは、収入が必要。

それに気付いて、新規患者受付を再開したり、当番医バイトを頑張り出したのが年末だから、春にはその分の収入アップが始まる。それでまた回り始めるかな。
何度も書いているけれど、実際に働いた事に対するお金が入ってくるのが3-6か月後なので、軌道修正してからが長いし、その結果を見て更なる軌道修正が必要になるかも知れないし、暫くは落ち着かないのだ。

 * * * * *

3月分の当番医表と自分のカレンダーを見較べて、また幾つか引き受ける事にした。

今度こそ、勘違いでなく最後の経済的苦境で、これを越せれば、もう大丈夫な筈。「あと1年」と思って、頑張りまーす!





2024/02/25

頑張ったぞ



休暇中、
風邪気味で余り動けない間に、溜まっていた書類の箱を空っぽにした!

他にも、気になりながらも、優先順位が低くて放置されていた用事のメールを出したり。小さな部品や古くなってきた机回り用品など、買おう買おうと思いながらそのままになっていた物も、一つずつ探して注文したり

今迄、出入金がイマイチ把握できていなくて(言い訳するようだけれど、口座も複数だし、ローンも幾つもあって、しかも毎月引き落とされるもの、3か月ごとに引き落とされるもの、など様々なの)、はっと気付くとどこかの口座が空っぽになっていたりしたので、口座ごとに毎月のおよその支出額をまとめ、そちらに定期送金するように手続きしたり。

昔書いたけれど、私はドクターの称号を取るのはやめた。
文学士のタイトルは、開業前は殆ど使っていなかったのだけれど、でもまあ私のアイデンティティの一つだしと思って、ドイツ語に正式に翻訳して貰って提出した筈なのに、待てど暮らせど反映されない。気になりつつ放置していたのも、休暇中に改めて問い合わせ。(届け出をしたのはなんと2018年だった!2020年頃かと思っていたよ・・・。)
やっぱり忘れられていたらしく、問い合わせたらすぐに反映されて、やっと医師登録のところにタイトルがついた。こんな簡単な用事が、なかなか済ませられなかったんだよなー。
それで、公式スタンプも作り直した。びっくりしたのは、スタンプの印字のところだけ交換できたこと。お財布にも環境にも優しい♪



こうやって、交換できるの。


今週は、一つ一つの症例にも、普段より「もう一手間」をかけたりして、丁寧に対応できたと思う。あの時自己嫌悪に陥った患者さんにも、今週は一応にこやかに丁寧に。医学部時代の本を引っ張り出してきて、いつの間にかごちゃ混ぜになっていた頭の中を整理し直したり。
すっかり元気になったので、ホームセンターで春の苗も買ってきた。

頑張ったぞ、私!





2024/02/22

スマホ解禁


昨冬、私の誕生日に夫がこぐま達と一緒に選んで、掘り出し物の傷ありスマホを買ってくれた。「今の、まだ使えるのにー!」と思ったのだけれど、充電が切れるのが早くなってきていて、仕事で使うのに夫が心配してくれたみたい。
半年以上放置されていたそれを、やっと使えるようにしてくれたのが、昨年末。
(一応庇っておくと、スマホを替えると私の仕事上のオンラインバンキングも登録し直さないといけなくて、それには郵送で日数が掛かるため、タイミングが難しかったのだ。それに、初代スマホなんて一年以上放置されていて、見かねた友人が使えるように設定してくれたんだもの、それと較べれば大進歩。)




向かって左が初代、右が二代目。

こういうリングは私には必須。左のはナビとして使う時、車のエアコン吹き出し口に挟めるのだけれど、充電する時に立たないので、今度は三脚や短い自撮り棒みたいに使えるタイプにしてみた。縦横角度が自由自在で、とっても便利。

 * * * * *

公衆電話というものが殆どなくなり、田舎なのでバスを1本逃すと何時間待ちとなったり、乗り間違えると何もないところに連れて行かれる可能性があって、こぐま達に緊急連絡用の携帯電話は持たせたい。それで兄こぐまには、私のお古の携帯電話を持たせたのだけれど、妹こぐまにはまだ何も持たせていなかった。
それで、私のお古のスマホを兄こぐまに回し、兄こぐまが使っていた携帯電話を妹こぐまに・・・と考えていた。

でも実は、友達が少なくて滅多に遊びにも行かない兄こぐまはそこまでスマホを必要としておらず、スマホをどうしても欲しがったのは妹こぐまの方。小学校の頃の友達とか、今は別の学校になっても繋がっているしね。
私としては、スマホはまだ早過ぎると思うのだけれど、こぐま達が今迄ずっと夫のスマホを使わせて貰っていたら、夫が遂に「もう、うるさくて、かなわん!」と音を上げだした。

夫のスマホも壊れてきてテープで留めたりしていたので、色違いのお揃いで買い替え。それでお古が二台できたので、こぐま達(10歳+12歳)に解禁する事にして、夫が頑張って旅行に間に合うように三台まとめて設定して、この旅行で使い初めとなった




さあ、出発♪

条件としてファミリーリンクというのを入れた。親のスマホから子どものスマホを使用制限したり、GPS追跡したり、使用時間や、何をしているのか覗いたりできるアプリ。「やり過ぎたり、成績が落ちたりしたら、使えないようにするからね」と夫に言われているらしい。
最近は結構あちこちでフリーWiFiがあるので、基本的にそれがあるところでのみ使うように言い、月額料金のないプリペイドにして、緊急連絡用に最小金額だけチャージした。

こぐま達は夢が叶って、大はしゃぎ。夫もこれでようやく、こぐま達の「スマホ貸して」の嵐や、その後のベタベタのスマホや、山のような写真や友達チャットなどから解放されて、幸せを噛みしめていた。




夢のMyスマホ。

ここのアルパカは学名にLamaが付いていて、ラマ好きの妹こぐま、大興奮。アルパカに向かって親指を立てて(!)、「いいね、いいね!」と話しかけながら、撮りまくりだった






2024/02/18

ただいま!


一泊二日で出掛けていました♪
最初は「行かない」「君一人で行けば?」と即答していた夫も、上手くのせたらその気になって、久しぶりの家族旅行になった。




途中の駅で見掛けたオーストリアの消防電車。

お祝いバーガー以来、「電車の旅=バーガーキング」となっている、我が家。
そのために、わざわざ乗り換え時間の長い連絡にするのだ。夫とこぐま達は、旅の前からバーガーキングのサイトを覗いて、ああだこうだと、どれにするか悩みまくっている。
そんな特別な楽しみのバーガーを100%満喫するために、テーブル付きの指定席を取るのも、もうお約束。




兄こぐまが選んだダブルゴーダチーズバーガー。フライの中身がチーズで、バンズの上にもチーズを載せて焼いてある。




ぬいぐるみ達にじゃんけん(!)させたり、何故行きたいのか討論(!)させたりして、今回はこの子に決まった。




駅前のパトカー。ホイールの中心の青と白、判るかしら。
うちの州ではパトカーもバスも救急車も何でもベンツが主だけれど、この州はBMWBMWのマークの青と白は、州章(パトカーの後部ドアの警察のマークの中心部分)にもなっている州のシンボルカラーから
因みにBMWというのは略語なのだけれど、実はうちの州では、正式名称の事を別の失礼な言葉に置き換えて、悪口を言われてます。




ドイツのスーパーで普通に売っているのは「Mikado」なのだけれど、旅行前日に兄こぐまが「あ!ポッキーがある!」と目ざとく見つけ、しかも普段ないイチゴ味だったので、旅のお供に奮発。




タイ製だって。妹こぐまは「日本の苺ポッキーの方がおいしい」と断言していたけれど、本当かな。

* * * * *

帰りの電車に乗る前に、バーガーキングで注文したら、なかなか出てこなくて、後から来た人達が次々受け取っていく。
夫が注文したのがちょっと珍しい特別なバーガーだったからかな、と思っていたのだけれど、発車迄あと十分を切ってから、夫に「これ、おかしいよ!」と。店員さんに「あと、どれ位かかる?」と訊いて貰うと、確かめもせずに「もうすぐ」という答え。それで安心するのが夫、食い下がるのが私。「いや、もうずっと待っているし。電車出ちゃうし!」
店員さんがミスに気付いて慌て出したのが、発車5分前位。走りたくなかった私は、夫のトランクを引き受けて妹こぐまだけ連れて、先にホームに向かう事にした。
電車のドアの前でヤキモキしながら待っていたら、夫と兄こぐまが無事に現れて乗り込めて、はー、ヤレヤレ。夫が「荷物持って先に行って貰って助かったー!」と言う位、ギリギリだった。




夫がどうしても食べたかったこれは、バンズからして特別だった!よかったねえ。こぐま達が「ママ、ありがとう!」と抱きついてきて、妹こぐまは頬にキスまでしてくれた。

旅行の話しは、また今度。





2024/02/15

カーニバルと学校



5年生と7年生、カーニバル休暇前の仮装登校日でした。警察官は去年、赤ずきんは今年、甘いパパに買って貰った(夫の写真の撮り方では、色々隠れて映ってないやん!)。兄こぐまの髪はヘアスプレーで着色。
カーニバルの仮装は子どもの夢だそうで、夫の実家は経済的に全く余裕がなくて買って貰えなくて悲しかったのが今でも忘れられないというので、任せてある。

兄こぐまは担任の先生が替わってから、友達もどんどん増えて(クラス替えはないのに!)、学校が楽しくなってきた。
昔の写真日記を見返して、色々思い出してしまった。




5年前のカーニバル仮装登校日、学校も家庭も大変だった頃。

小学校と同じくギムナジウムでも、最初の2年間の担任の先生に嫌われて、本当に大変だったなあ・・・。
夫が校長先生にまで抗議書を出すくらい、酷かった。保護者面談も全面戦争だったし、通知表の評価にはネガティブな事しか書いてない(普通は、良い面・悪い面の両方を書くもの)。テストの成績は満点に近いのに、授業態度などで思いっ切り引かれて、通知表の成績は「ええっ?」と驚く程悪い。

最初の1年間は、友達ゼロ。そりゃ、担任の先生があからさまに毛嫌いしている生徒とは、みんな距離を置くよねえ。そもそもうちの小学校から唯一で、他の子達は小学校からの友達グループだったから、それで先生に嫌われたら、もう孤立するしかない。不貞腐れて意固地になれば、問題行動だってしてしまう。と言っても、押されて突っぱね返したり、虚栄を張ったり、先生に言われてもすぐ動かなかったり、椅子を戻すときにガチャンと乱暴にやったり、そんな程度よ。そしてその度に、兄こぐまだけ罰を受け、「彼にセラピーを受けさせろ」と私達にガンガン圧力がくる。

兄こぐまが本当に協調性がなくて非社会的で、セラピーが必要な程だったら、担任が替わっただけで突然友達が激増する訳ないやろ!
というのは、今でこそ言えるけれど、真っ只中ではただの親バカ意見としか思われない。「何かされたら、反撃せずに先生に言えばいい」と言うくせに、いざ兄こぐまが訴えても聞き流され、助けて貰えない絶望と怒りを家で爆発させて泣く兄こぐま。一応「どんな理由があっても問題行動はいけない事」と話しはするのだけれど、もう我慢の限界まできている子どもに、これ以上一体どこまで求められるものか。「兎に角絶対、怪我だけはさせないように」と言い聞かせるのが精一杯。

人間には相性というものがあるけれど、仕事ではそれを自己コントロールするのが当たり前だし、そもそも思春期前の学校の先生というのは絶対的権力者なのだから、逃げ場のない無力な子どもにぶつけるのは最低最悪。それでもプロかよ。




5年前のこのプリンセス服、10cmくらい袖上げしてあるの判るかしら。Tシャツ生地なので着やすく、これ位大きいのをセールで買って、確か去年まで、カーニバル以外でもしょっちゅう着ていた。

妹こぐまは最近勉強も頑張り出して、1から2も結構ザクザク持ち帰ってくるようになって、びっくり。そもそも小学校に一年早く入学しているので究極の早生まれだし、ギムナジウム進学の推薦を貰えなくて、無理じゃないかと心配されていたのにねえ。

妹こぐまは昔から友達に囲まれている。嘘をついて騙してくるようなクラスメイトでも、まあ積極的に仲良くはしないけれど、頼まれればまたグループを組んだりしている単純さだし(で、またやられるのだけれど・・・)、A子ちゃんグループがB子ちゃんの悪口を言って仲間外れにしていると、そういうやり方を嫌ってB子ちゃんの方と仲良くしていたりしているので、取り敢えず悪い事はやっていないだろうと安心していられる。

二人とも、クラスで唯一スマホを持っていないのだけれど、それで仲間外れにされたり、バスを逃してポツンと立っていたりするのが兄こぐま。妹こぐまは、仲間外れにされるどころか、困っていたら頼む前に友達がさっと自分のスマホで連絡してくれたりするので、心配いらない。
とはいえ、二人ともよく頑張っているし、いよいよ持たせる予定だけどね。

* * * * *

もう何度も書いているけれど、私は、今のこぐま達くらいの年齢の時の学校が、一番つらかった。私も先生に嫌われて友達が一人もいなかったり、その後暴力的ないじめが始まったり(でも、いじめよりも、先生に嫌われてされた事の方が、消えない心の傷になっている)。
風邪でも熱がなければ学校を休ませて貰えないので、何とかしっかり風邪をひこうと思って、布団を掛けずに寝るのだけれど、眠っているうちに無意識に布団を被ってしまう。それで、布団をベッドの下に落として手が届かないようにして凍えて寝たりしたのを覚えている。

なので、ギムナジウムで兄こぐまに一人友達ができた時、「一人いたら上等!数は要らない!」と喜んだし、しんどそうなら、ちょくちょく学校も休ませた。

先述のプロの自己コントロールというの、えらそうに言ったけれど実は医者も同じなので、自戒をこめての事。
医者というのは患者の健康を人質に取っているような「強い」立場なので、相性が合わなかろうと、患者の人間性や持論がどうであろうと、医者の側が自己コントロールするべき。
なのだけれど、「ちょっと難しい問題クラスをまとめるために、一人の生徒を標的に定めて、その子を皆のはけ口にしてまとめた」という教師が、自分の血液検査の些細な数値を気にしていたりすると、どんなに頑張って割り切って対応しようとしても、私の心がついていかなくて、親身に寄り添えなくて苦しくて、私もまだまだだなあと後でがっくり自己嫌悪に陥ったりする。
(親身になれないだけで、酷い対応はしていないよ。と、念のため。)

でもね、こぐま達がこうして二人で楽しく学校に行けるようになって、私自身も心の傷の手当てをして貰っている気分です♪
最近は兄こぐま、夜うなされるどころか、夢の中で大笑いしていたりするの。よかったなあ。


因みに、うちの母体の町のカーニバル行列はこんな感じ。村ごとに幾つも団体があって伝統を守っていたり、道化たちは今の政治・社会風刺もてんこ盛り。
(地元紙サイトのフォトギャラリー。最初に、広告ありの無料版【左】か、公告なしの有料版【右、Aboの値段が書いてある】か、訊かれます。)





2024/02/11

風邪はひき始めの対応が肝



久々に風邪をひいていました。

と言っても、私が寝込んだのは、ほんの半日。
ここのところ酷い風邪が流行っていて、症状が重くて長い。普通なら風邪の病欠は3-5日程度で済む事が多いのに、今シーズンは1週間半以上でも珍しくない。そこまで引き摺ると、肺炎など起しかける事もあるので、大変。近隣でも、スタッフ不足で閉めざるを得なかった医院まで複数出た位。

うちも家族が風邪をひいていて、うつるのはまあ当然。
実は私は開院以来、コロナで寝込んだ以外では、働けない程の酷い風邪はひいた事がない。ちょっとしんどくてお昼寝が必要とか、その程度。
それが今回はかなり苦しくて、一週間の仕事を終えた金曜日の夕方、唾を飲み込むのも痛くなり、頭から指先まで全身の痛みが出て、湯たんぽを抱えて寝込んでしまった。それでも晩には大分治まり、土曜日の朝にはほぼスッキリしていたよ。

これね、ひき始めの、まだはっきり風邪だと判らない頃の対応が肝心。
「うつる・うつらない」「ひく・ひかない」は、正確には「発症する・しない」で、「風邪をひかない人」というのは別に皮膚のバリアーではねのけている訳ではなく、侵入してきたウィルスを増殖させず、やっつけているから発症しない訳で、だから体内での戦いは起きている、どころか、実はここが一番の正念場で、時間単位で大きく変化する。この時「何かちょっと変だけれど、ピンピンしているし、大丈夫!」と無視したり、「早目の薬」で症状を見えなくしてバリバリ活動したりすると、その後しっかり発症してしまう。

今回私が久々に寝込んでしまったのは、平日の夜に往診当番医が入っていて、普通に昼間働いた後夜中まで往診が続き、最後3時に起こされて往診した時に寒くて「あれ?」と思った、そこから週末まで働き続けた、そのツケ。
それでも半日で済んだのは、やや遅ればせながらも対応できたお陰だと思う。

風邪の同居家族を隔離するのは、その前に大体もうウィルスを貰っているので、ほぼ無意味。それよりも、初期対応。
私の対応は・・・(注:健康な人の場合。慢性病のある人や後期高齢者は調整が必要。

■あれ?何かちょっとおかしいかも?位の時
  • 日に何度も鼻うがいをしてからUmckaloabo:ウィルスが粘膜にくっついて増殖するのを防ぐ。Umckaloaboはゆっくり少しずつ飲み込んで、喉にまぶす感じで。飲食すると流れてしまうので、その後暫く飲食しない。
  • コエンザイムQ10:免疫活性化に。Echinaceaも免疫活性化にいい。但し持続効果はないので、最長でも2週間。あと、自己免疫疾患の方には禁忌です。
  • 喉元、足元を冷やさない:「センサー」を冷やすと全身の血流が悪くなり、免疫細胞が充分届かなくなるため、ウィルスが増殖しやすくなる。「薄着で体が冷えたら風邪をひいた」というのは、このパターン。
  • 砂糖禁止、無理しない、睡眠をしっかり取る:炎症は砂糖が大好き。エネルギーを温存するよう、「どうしてもしなければならない事」以外は全て放置し、体を休める。

■ゾクゾクしてきたら
  • 兎に角温める:ゾクゾクするのは、体が核心温を目標値まで上げようとしている時。なので、ゾクゾクしなくなるまで厚着したり布団を重ね、湯たんぽを抱え、暑くなるまで徹底的に温めるのが大事。湯たんぽは胴の近くに置いた方が手足の先まで早く温まる。入る元気があれば、お風呂もいい。暑くなったら、次にまたゾクゾクが来る迄、脱いでいても大丈夫。
  • 葛根湯やYogiTea
  • もよく効く
  • 食欲がなければ無理に食べない:消化吸収には体のエネルギーを取られるので、負担を掛けず、エネルギーを温存する。

■普段から予防に
  • 発酵タラ肝油:毎日ティースプーンに1、2杯。油溶性ビタミンなので過剰摂取しないよう。
  • ビタミンC:水溶性ビタミンは尿と一緒に排出されるので、2、3時間ごとに少量を摂取。酸なので、歯と胃には気を付けて。

■発症後の話しも少し
  • 普通の「総合風邪薬」とか「解熱剤」とかは、私はもう長年飲んだことがない。というのは、風邪のひき始めの頃の39度以下の熱なら、下げない方がその後体がスッキリするから。(実は私、自力で熱が下がった時の、デトックスしたみたいな爽快感と体の軽さが大好き。但し、こじらせてしまった後は、もう体力が残っていないので、下げた方がいい場合もあるよ。)
  • 鼻うがいは、すると全身症状もすっと楽になるので驚かされる。逆に鼻うがいできない状況だと、刻一刻と悪くなっていくのを感じる。頻度は「したいと感じたら」。

という感じです。お役に立ちますように!
もしかして、こじらせた風邪とか嘔吐下痢の対応とかも、聞きたい?


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2024/02/08

頑張らないお弁当、頑張ったお弁当



普段は、日曜日の晩御飯を作る時に、月曜日のお弁当も一緒に用意してしまう。この日は、白菜と挽き肉とお豆腐のあんかけに、人参サラダ。
昔は頑張って朝作っていたけれど、こういう取りよけ弁当でも、文句が出るどころか大喜びしてくれるので、もう頑張らない事にしている。

* * * * *

学校で年に一度、「スポーツの日」というのがあって、クラスごとではなく全校混ぜこぜで、好きな行き先を選んでのお出掛けがある。凄いグループは、朝5時出発でオーストリアまでスノーボードしに行ったり。
兄こぐまは去年も今年も、プールを選んだ。滑り台とかあって遊べるプール。妹こぐまは今年が初参加で、アイススケートにしたって。どちらも5時間位やるらしくて、夫の作るサンドイッチでは足りないだろうなー。あと、多分体が冷えるから、温もりの残るお弁当がいいだろうな。

何とも間の悪い事に、火曜日。月曜日は晩の診療があり、火曜日は早朝から開けるので、本当は一番勘弁して欲しい日。
でも、こぐま達、「ママ、可哀想!」と言いながらも、内心期待に満ち満ちているのが溢れ出ている・・・仕方ない、頑張るか。

月曜日は晩の20時迄診療で、その後晩御飯を食べながら事務仕事を片付けたら、もうヘロヘロ。お米を研ぐだけで精一杯で、もう下ごしらえも何もせず、妹こぐまになでなでされながら、就寝。
火曜日は朝7時から診療開始なので、5時半過ぎに起きて、お弁当作り。




最後、おにぎりを作る時間がなくなったので、海苔サンド弁(御飯の間に千切った海苔を挟んでお醤油を垂らす)。メインは、豚挽き肉に自家製玉ねぎドレッシングを混ぜ、生姜醤油でミニハンバーグ。
そしていつもの玉子焼き、ブロッコリー、ラディッシュ。デザートにオレンジ。おやつにポッキーも買っておいた。

こぐま達は、あたたかいお弁当を抱えて、うっとり。
兄こぐまが、「ママのごはん(ライス)は、ふんわりしてるの。学食のは、あんなの、ごはんじゃないよ!」と力説してくれた。
妹こぐまも、上下逆だった嚙み合わせの矯正が進んで、生まれて初めてオレンジの薄皮が嚙み切れるようになった。

いってらっしゃーい、楽しんでおいで♪






2024/02/04

家庭医の孤独



家庭医の仕事は、凄く面白い。

でも思っていたより重くのしかかるのが、死の部分。特に予期せぬタイミングでの死だった場合は、何かサインを見逃したのではないかとカルテを遡り、自分に何かできなかったのかと、どうしてもぐるぐる考えてしまう。
また、一家まとめて診ている場合は、看取りでおしまいではなく、家族の「その後」のケアが、かなり長く続く。

病院なら同僚とお喋りして解決できるけれど、家庭医は孤独。守秘義務があるので誰にも吐き出す訳にいかず、何もかも私一人で飲み込んでいくしかなくて、家族に心配されても話せず、村人との世間話しでも情報を出さぬように気を遣い、体の中に鉛のような澱が溜まっていく感じ。
絶対的な正解というもののない世界なので、「これでよかったのか」という自問自答は常にあり、事あるごとに澱がまた表面に浮かび上がってくる。
医者と患者というのは一方的な関係と思われがちだけれど、医者も患者から影響を受けてしまう部分があるので、精神科などでは「スーパービジョン」と言って、医者が問題症例を相談して自分の精神衛生を保つシステムもある位。

それで家庭医にとって貴重な相談の機会となるのが、勉強会。
大きな事なら発言して症例報告させて貰う。小さな相談や情報交換には休憩時間のお喋りが凄く大事で、だから自己紹介もすっ飛ばし飲食そっちのけで話し込んでいるグループがあちこちに出現する。

土曜日は丸一日緩和ケアの勉強会だった。緩和ケア、腫瘍科の先生の講演をそれぞれ聞き、臨床心理士も加えて症例を検討。毎年行われているのだけれど、私は去年は試しに他所に行ってみたので、2年ぶり。
参加者の大半は開業家庭医。二十数名位で輪になって座り、発言もいっぱい。緩和ケアに興味のある人達なので、基本的に皆さん真摯で、家庭医という仕事を愛しているのが伝わってきた。

講演も素晴らしかったし、「症例ある人~」のところで手を挙げて紹介させて貰い、色々な観点の意見をバンバン聞けて、心の澱がかなり昇華された感じ。
そして私も一つ、参加者の多くが知らなかった情報を提供する事ができて、少しでも役に立てて嬉しかった。

充実し過ぎで、帰宅したらヘロヘロの疲労困憊。お風呂に入ってあたたまり、珍しく湯たんぽを抱えてすぐベッドへ。はあー、でももう既に、来年の勉強会が楽しみやわ♪