ずっと前に「いつか嘔吐下痢について書きましょう」とお約束したままになっていました。
ウィルス性や食中毒の胃腸炎で医者ができる事は少なく、せいぜい点滴で水分補給したり、吐き気止めや下痢止めを出す事くらい。なので、苦労して医者にかかりに出掛ける必要はない事が殆どです。
ただ、間違った対応をしていると、脱水症状になったり、長引いたりする事もあるので、注意点を書いてみます。
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夜に始まる事が結構多いのだけれど、一夜目は薬なしで、まず出してしまう方がいいと思う。
その後は、嘔吐はしんどいので、酷ければ薬を使う。
下痢は、なるべく薬で止めず、全部出してしまう方が長引かないのだけれど、睡眠が取れないと参ってしまうので、二夜目からは、夜だけ下痢止めを使う事をお薦めしている。
週末や夜間でも、地域の薬局が当番制で開けているので、困った時には「Notfallapotheke」で検索して下さい。
■ドイツで処方箋なしに買える一般的な薬
- Iberogast:ハーブ薬で、胃のむかむかや腸痙攣をやわらげる。
- Aktivkohle:下痢を止めるのでなく、毒素を吸収して排出を助ける。
- Vomex (成分名 Dimenhydrinat):吐き気止め。坐薬もあり。
- Imodium (成分名 Loperamid):下痢止め。
私自身は薬は使わない事が多いので、うちにはこの二つと鍼しかない。
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大事なのは、水分補給だけ。
大人でも子どもでも、水分補給さえしっかりしていれば、大丈夫。
尿の色と量が普通であれば、足りています。
嘔吐が止まらない場合は、吐き気止めの薬を飲んで(それすら無理なら坐薬)、15分位待ってから。一度に沢山飲まず、少しずつ、少しずつ。
また、乳幼児や後期高齢者でなければ、半日位なら水分補給しなくても何とかなるので、頑張り過ぎず、少し収まってきてからでも大丈夫。
ただ、既に脱水症状になってしまうと、脱水症状からの吐き気も加わって飲めなくなってしまうので、そうならないうちに努力する事が大切。
■水分補給が足りていない危険信号
- 尿の色が濃く、量が少ない
- 口の中が濡れていない
- 赤ちゃんが泣いても涙が少ない
- 大人のお腹や腕の肌をつまんで、その部分が戻らずに立ったまま
これが改善されなかったら点滴が必要になるのだけれど、気を付けて努力していたら、普通はそういう事態にはならない。
私自身は胃腸風邪の時は、何も入れない紅茶が一番好き。
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消化吸収というのは胃腸にとって「仕事」なので、病気の時にはさせない方がいい。なので、無理して食べず、どうしてもお腹が空いた時には少しだけ、消化のよいものを。
子どもはすぐにげっそり痩せるけれど、元気になったらすぐに戻るので、心配し過ぎず。但し活動は、できる限りの省エネモードで。
■私のお薦め
- バナナ、3分の1以下(子どもならもっと少し)
- 何も塗らないドイツの白パン、ほんの一片(日本のパンは色々入っていて重いので駄目)
- 具のない、精進出汁の澄まし汁(鰹節を使わす、昆布・椎茸だけ)
これですら出てくるようでは、まだ時期尚早なので、飲み物だけの絶食を続ける。ここで無理に食べると、それが出てしまうまで嘔吐下痢をまた繰り返すので消耗するし、長引きます。
これが問題なければ、少しずつ量を増やしても大丈夫。
御粥は米粒が崩れる位にしないと、意外に消化が悪い。それよりは、にゅうめんの方が元が粉なので消化がいい。いずれにしても、元気な時なら数口で食べられる位の、ほんの少量にしておき、その後1時間位は様子見をすること。
■避けた方がよいもの
- 酸のある果物
- 浸透圧の強いもの(糖分・塩分とも)
- 脂質
- 動物性のもの(卵や乳製品も)
乳児には普通におっぱいを飲ませて大丈夫です。脱水の心配がある場合は、合い間に白湯などを飲ませて。
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もっと詳しい過去記事
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余談:
小さかった頃、正露丸を飲むのが本当に嫌だった。確かに効くのだけれど、あの臭いがどうしようもなく嫌で、だからお腹が痛いのを必死に我慢して、なるべく黙っていたり。
瓶の中の正露丸が毎回減っていくのだけが内心の喜びで、或る日、遂に、最後の一粒を飲んだ!やったぜ、アタシ!
と思ったら、母が押し入れの奥から、その何倍も大きな新しい瓶を出してきた。あの時の絶望感と言ったら。そのシーンは今でも目に焼き付いている。