2026/10/01

怒髪天を衝く・デモでお会いしましょう



ドイツでは最近、医療制度を節減する政策が可決された。
一般市民との討論会で、それを厳しく批判した医者に向かって、メルツ首相が言った。
「あなた達医者も、医療制度のNutznießerなのだ」
("Und da sind Sie als Teil des Gesundheitssystems auch Nutznießer. Sie als Ärztin")

さて、この「Nutznießer」という言葉、字面で「Nutzen」+「Nießen」から想像するよりも、ずっとずっと酷い意味。

小学館独和大辞典による和訳は:
「受益者、うまい汁を吸う者」

DUDENによると同義語は、なんと:
「Schmarotzer(寄食者、居候、食客)」
「Parasit(寄生生物)」
「Abstauber(いかがわしいやり方で他人に生活費の面倒をみてもらって暮している人)」
つまり、労働の対価ではなく、ただ受益している人という意味の言葉。

そもそも私達開業医は、自分で医院を建てて機器なども買ってローンを背負い、人も雇って経営しているのに、収入は自分で決められない。物価上昇で経費が膨らんでも、「このままでは倒産するから値上げ」とかできないし、たとえ仕事を増やしたとしても、稼ぎはカットされて自由に増やせない。既にやった仕事であっても、予告もなく勝手に支払いカットされたりもする、酷い扱い。
そんな私達に、一国の首相が、この言葉を使うか。
しかも討論に出た医者は、自分の懐のためではなく、その節減によって苦しくなる患者さん達のために、批判したのだ。

思い出す度に怒りで寝付けなくなる位、めっちゃ頭にきた。

ほんの数年前、コロナ禍中、我が身を削って尽力していた医療従事者への感謝の気持ちの表現として、晩の決まった時刻に、皆がバルコニーに出て、拍手をした。
それが、喉元過ぎれば、これかよ。

* * * * *
 
10月4日(日)13-16時、シュトゥットガルトのSchlossplatzにて、デモがあります。

フェスティバルみたいなノリで、音楽など出し物もある予定なので、家族連れも大歓迎。



フェイスブックですが、ログインしなくても見られます(ログイン画面を「x」で閉じる)。削減の内容の、隠された部分について、とても解り易く書かれています。

医療関係者じゃなくても、この節減に反対の方、私に会ってみたい方は、気軽に覗いてみて下さい。




怒りの余り、Tシャツをプリント注文しちゃった。
そのお金で素敵なTシャツを買う方がいいというのは解っているけれど、いや、これ、黙っちゃおれんやろ!
ついでに鳴り物も用意。

私を見つけたら、是非声を掛けてね! 





2026/09/30

うちの車の歴史


前にも書いたけれど・・・



一台目は2007年に買った、9歳のクオーレ。
確か走行距離が4万km位で、2750ユーロだった。




ラジオ受信料を払いたくなかったので、ラジオは取り外した(穴!)。
車内に塗装メタル剥き出しというのは、日本から行った私にはかなり衝撃の初体験だった。

重ステ、後部座席も動かせないし、エアコンなし。メーターも窓の開閉もアナログ。私の知る、車のずっしりとした密閉感がなく、外部の音が遮断されず、ペラペラ・ガタガタという感じ。




両親をスイスまで迎えに行った時の写真。4人分の荷物(しかも両親は長期海外旅行だから大荷物)で、ぎゅうぎゅう!

片道45kmの長距離通勤していた時期で、8年間で12万km走った。
その後、自動車修理工のお義父さんに引き取られ、更に数年間活躍し、最後は分解して草刈り機に改造されて、今でも義実家にいる。




二台目は2015年に買った、7歳のクオーレ。
一台目の修理の見積もりが1000ユーロ位で、それなら3000ユーロで掘り出し物があるんだけど・・・と薦められて、悩みに悩んで乗り換えを決めた。
雹害や、ぶつけた凹みがあって、だから安かったの。

今度はエアコンあり!と大喜びしていたのだけれど、結局壊れていて使えず、引き続きエアコンなし。遠距離通勤・屋外駐車だったので、これはかなりきつかったー。
でも、大分進化していて、後部座席も動かせるし、前のより車内が広くて静かで快適。内装もメタル剥き出しではない。前部座席はパワーウィンドウ。

片道60kmの長距離通勤期間もあり、11年間で18万km位走った事になるのかな。

メーターが22万km超になり、いよいよ不調になってきて、修理の見積もりは2000-3000ユーロ。さて、どうするか・・・
私としては、この二台目には、私達の暗黒時代のつらい思い出が沢山詰まっているので、ここらで気分一新したい。

最近は中古車の値段もめちゃくちゃ上がっていて、5000ユーロ以内なら御の字。しかもダイハツは2013年にヨーロッパから撤退しているので、もう余り出回っていない。

ところが私、破格のを見つけた♪




三代目は紫のマテリア。初めての5人乗りで、大きいー!
二台目と同じ古さの2008年製だけれど、走行距離が15万5千kmで二台目よりも大分少なく、2499ユーロ。
なので、修理したつもりで乗り換えちゃえ、と。

それが、「買ったら車検を済ませて引き渡し」だったのが、車検に通らず再検査になり、結構あれこれ修理が必要になったのだけれど、ダイハツが撤退しているので部品が入手しにくく、最終的には私達の二台目を渡して、そこから部品を取って使って貰ったりして、何と約二週間、車なし生活。
でも、ここでしっかり色々交換修理して貰ってあれば、当分もつという事で、今回の車検が厳しかったのは私達にとってはラッキーだった。

さて、何故そんなに安かったかと言うと・・・



つぎはぎされているからだと思う。




しかも左右非対称!(爆)
恐らくぶつけて、新品の外板パネルを買わず、廃車にするのから取って来て付け替えたんだな。せめて左右対称にしたら、元々そういうデザインに見えなくもないのに。
ブラックジャック号とでも呼ぼうか。

日本人にはちょっと考えられない位、めちゃくちゃ汚い状態で引き渡しされるので、頑張って掃除・洗車しました。
自分達の汚れは気にしないのだけれど、他人の汚れはちょっと気持ち悪い。それがベタベタどころか、更にカリカリになっている状態だったのを、全部きれいにして、スッキリ。

エアコン付きで、後部座席は真っ平に倒せるし、ハンドルも二台目より軽い。後部座席までパワーウィンドウ。後部スモークガラス。
って、こちらでは特筆する事なのよ。私が二十数年前に日本で乗っていた車の装備に、やっと追いついてきた感じ。




私はいつもジョウロで洗車していて、洗車機を利用したのは初めて。楽しかった♪

* * * * *

因みに、私達が中古車を買う時の基準は:
  • ネットで探すけれど、個人からは買わない。
  • 新しい車検付き。
  • 公式には無事故車であること。
  • 外側の凹みや傷は、気を付けなくて済むし、価格が下がるので、却って歓迎。
  • 基本的には移動手段の実用目的なので多少の事には目をつむるけれど、気持ちよく嬉しい気持ちで乗れる状態である事。


2026/09/27

Colmarの町並み



コルマールはうちからちょっと離れているので、行ったのは凄く久しぶりでした。
人出が多くて、皆楽しそうで、その賑わいを見るのが嬉しかった。




とても暑い日で、日が落ちてからが過ごしやすく、テラス席が大人気。




Hansiの小さな私立美術館にて。
こんな素敵なラベルのワインがあったら、買っちゃうわ!

それにしてもHansiというのは正しく「最後の授業」(←Amazonリンク)の世界で、アルザスがフランス愛国というプロパガンダになったのだと読んだ事がある。
でもアルザスって、本当は多分サルトルの言葉通り、フランスの事もそんなに好きじゃなくて(ドイツの事は勿論大嫌い)、アルザス人としての矜持なのよね。

* * * * *

翌朝、カメラ片手に一人で散歩。



この辺りは「プチ・ベニス」と呼ばれている。




中高生位の生徒が次々に登校するのを、門の前に立って挨拶して迎えている先生がいて、びっくりした。ここは、そういうの、するんだー。







右の大きな建物はマーケット・ホール。




こういう石の使い方とか中庭とか・・・




隙間の使い方とか・・・




屋根裏の詰め込み方とか、何だか愛おしくて好き。
そして、ちょっと渋いパステルカラーが、甘過ぎず、派手過ぎず。




洗練し過ぎず、でも下品にならず。これぞアルザス、と思う。

* * * * *


家族へのお土産、幸せのお裾分け。
暑い日のドライブで、クーラーもないオンボロ車なので、生ものはなし。

* * * * *

計算違いで焦ったのは、「この辺より多分安い、国境近辺で給油しよう」と思っていたら、はっと気付いたらもう国境を越えていて、フランスに入って初めてのガソリンスタンドは「ディーゼルのみ」になっていて、「そんなの、あり?」と絶句。なんと、その次のガソリンスタンドも、ディーゼルのみ。えーっ、フランス、一体何がどうなってるの?!

その時点で私のタンクはもう空に近く、あと10-20km位しか走れないという状態。アルザスの田舎の方では、ガソリンスタンドの数は少ない。次のガソリンスタンドまでならもつけれど、無駄に探し回ったらガス欠になるかも。
幸い、その次のガソリンスタンドにはガソリンがあって給油できたけれど、冷や汗をかいた。

その後、Q太郎パパさんも3軒目でやっと給油できた話しを読んで、ああ、そうだったのかー、と。教訓としては、地元以外では、余裕を持って給油しておこう!


2026/09/24

Colmarで至福の時


これも夏休み中の、チロル旅行の後のこと。

暑い日が暮れて・・・



川の上のこの素敵なテラス席で・・・




至福の晩御飯。
シュークルートもキッシュ・ロレーヌも、凄ーくおいしかった! 泊まりなのでアルザスワインも堪能できた。

実はこの日、途中で買い食いする予定だったのが、お昼に寄った店寄った店「いまいち」の顔で、朝から殆ど何も食べていなかったので、お腹ペコペコだったの。
ここのは、「やっぱり変なものでお腹を膨らませなくてよかったー!」と、しみじみ思う位、おいしかった。


(↓Amazonリンク)
おいしいアルザス料理で皆が幸せになるお話し。勿論シュークルートも出てくる。いろいろツッコミどころもあって、笑っちゃう。

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一人の朝。



散歩していたら、カテドラルの横のパティスリーカフェがもう開いていた。




いい顔!




焼きたてパリパリのパンオショコラ、絶品だった!
(私の数少ない経験だけれど、パンオショコラは、パン屋さんよりパティスリーの方が、絶品に会う確率が高い。)

教会の鐘の音を聞きながら、美しい町並みを眺め、一人でゆったりと至福の朝御飯。

余りにも素晴らしくて、クロワッサンとコーヒーでお代わりしようかと思ったけれど、ぐっと我慢して・・・




開店と同時に、大好きなパティスリーGILGへ。朝一番だと品揃えが凄い!
ここは持ち帰りのみなので、宿がないと食べづらく、久しぶり。




悩みに悩んで、ラズベリーのケーキを選んだ。5.10ユーロ也。
コーヒーを淹れて、朝御飯の第二部。




中はヘーゼルナッツ味。はあ~、素晴らしい~。

* * * * *

日帰りでも可能だったのだけれど、どうせならその後泊まってゆっくりしちゃえ、としたの、大正解だった。

壁に収納してあるベッドを下ろすと横を歩けない位、小さなアパートメントでも、バスタブがあったし、コーヒーを淹れてケーキを食べられたのは、とてもよかった。

アパートメントと提携している屋内駐車場も借りておいたのだけれど、これは予想外に大変だった。
普通のガレージを想像していたら、行ってみたら契約者専用の地下立体駐車場で、中の電灯が最低限で暗く、番号も書いてあったりなかったり、駐車スペースも飛び飛びなので順序が判らず、目的の番号の駐車スペースを見つける迄、スマホの懐中電灯片手にウロウロ歩き回る破目になった。
最後、たまたま来た人の助けを借りて、やっと見つけられたー。
アルザスの都市部ではよくある事だけれど、私の軽自動車でも切り返しをしないと曲がれない位、狭かったし。
でもまあ、見知らぬ土地、それも外国語での駐車場探しは難しいので、借りておいてよかったかな。



2026/09/22

ドイツ語の長さ


梨の木さんの「略語難民」を読んで、ふと気付いた。
そう言えばドイツ語にも、略語は溢れているわ。

そこから、略語が必要となるドイツ語の長さというものを、改めて実感した。
例えば私の住むバーデン・ヴュルテンベルク州の保険医組合は、
「Kassenärztliche Vereinigung Baden-Württemberg」
という長ったらしい名前なのだけれど、略して「KVBW」と呼ぶ。
私の銀行も、「Deutsche Apotheker- und Ärztebank」という長い名前なのだけれど、通称は「apoBank」。

「紅の豚」(←Amazonリンク)で、冒頭に豚のタイプライターで、同じ文面が多言語で書かれる。あれで、他の言語はもう書き終わっているのに、最後に書き足されるのの一つが、ドイツ語。


この最下行。文字のフォントもかなり縦長で、ギッチリ詰めてある。

因みに「紅の豚」をドイツ語吹き替えで見ると、寡黙な筈のポルコが、まあペラペラと、喋る喋る。軽薄っぽくて、興醒めするったら。

ドイツに遊びに来た日本人がよく、ドイツ人の口数の多さにびっくりして、「この人、一体何を一所懸命言っているの?」と訊くのだけれど、ただ単に言葉が長いだけで、大した事を話している訳ではなかったりして、訳すと「え?たったそれだけ?」と拍子抜けされる。
私もドイツ語だと、講義でノートをとるのも、問診でメモするのも、キーワードを書くだけで精一杯。

だからドイツの医学用語にも略語が多い。一般的なのは・・・
Koronare Herzerkrankung → KHK
Gastrointestinale Blutung → GI-Blutung
intravenös → i.v.

そもそも医学用語は英語でも、ちゃぶ台をひっくり返したくなる程長いのがあって、原形をとどめない位に略されたりする。
non vitamin K antagonist oral anticoagulants → NOAC(ドイツではNOAK)
heart failure with mildly reduced ejection fraction → HFmrEF

・・・という訳で、ドイツで医学をやっていると、略語の嵐なのだー。
新しい手術法の名称など、医者でも専門外だと意味が解らなかったりするので、「医者の手紙に使う略語は、最初に括弧で元の言葉を書いておくこと」という暗黙の決まりがある位。

* * * * *

覚えるのは大変だけれど、これはまあ、こういう言語でこういう分野では必要なものなのだと納得がいくし、大体は頭文字を取るだけなので、そんなにイラッとしない。
ロシア文学でも愛称に振り回されて、人物表が必要になるけれど、あれもあんな長い名前では仕方がないのかなと思える。

が、日本語のそんなに長くない単語で、いちいち要らんやろ!というの、同感です。