とっても有難い事に、医院が回るようになった。2年分の税金等の後払いが済み、同時に税金の分割前払いが始まったけれど、何とか大丈夫。(追記:ここで「2年分」と思っていたのは勘違いで、あと1年分残っていました・・・)
公式なローンに加えて一時的にしていたプライベートの借金も、延長せずに返せる事になった。患者さんの予約も結構一杯で、でもまずまず普通にこなせる分量。なので、そろそろブレーキを掛ける事にした。
抱え込み過ぎて常にパンクしていて、健診などがなおざりになっている医院も周囲に結構ある。そもそも私が開院した時、検査とか薬の調整とか、「一体何年放ったらかしやったんよ!」という感じの人が多かったもの。
私は、目が行き届かない、手が回らない程には抱え込みたくない。
開院したばかりの外国人の医者を信用して早々に来てくれた「うちの患者さん」達と、もう2年半経つ今頃まで様子見してから来る人達と、どちらを大事にするべきか、なんて自明の事。
常連さん達って、待ち時間が短いと逆に「経営は成り立っているの?」と心配してくれたり、待合室に他の人がいると「よしよし」と安心してくれたり、「ちょっと先生、今日顔色悪くない?」と私の心配までしてくれたり、本当に有難いの。
気になる病状や状況の人に「その後どう?」と電話を掛ける。家族を喪ってまだ日の浅い人が処方箋を取りに来たら、診察室に引っ張り込んでちょっと話しをする。そういう事をすると驚かれる事が多いのだけれど、それすらできない位になったら私は家庭医やめた方がいいわ、と思う。
先日も一人急患があって、診療時間外に来て貰って、はっきりしないから超音波検査もして、「これはおかしいわ」とすぐに救急病院に送って、そちらで即手術になった。そういう救急の対応には時間が掛かる。また鍼灸は常に時間外で、「痛いから施術して欲しい」と言われれば、その日か翌日には入れるようにしている。精神的なケアが必要な場合も、改めて時間外に来て貰う。そういう事が出来るキャパを残しておきたいので、公式な診療時間は増やしたくないのだ。
というのは、公式な診療時間というのはスタッフの時給があるので、予約はきっちり詰めておかなければならない。診療時間外は私一人の問題なので、回す必要がなくてゆっくり対応できるし、何もなければまるっと私の自由時間になるから、それはそれでOK。
新しい患者さんとか、セカンドオピニオンとかは、病歴の整理も大変だし、知らない人だから推測するのも難しくて、もの凄く労力が必要。今迄は新規患者さんがほぼ毎日来ていたのだけれど、それにブレーキをかける事で、凄く楽になった。
世界中の人を助ける事なんてできないし、いつか限界は来る。遅かれ早かれブレーキはかけざるを得ないのだ。キャパオーバーしてどうしようもなくなってからかけるのでは遅過ぎるので、それ位なら今のうちから、と思う。
ローンさえ返していけて、家族を食べさせていけて、たまには楽しみや贅沢にも使える分があれば、それ以上のお金は要らない。
「私が働けなくなったら」とかの心配で貯蓄しておきたい気持ちもなくはないけれど、貯金してもお金の価値はどんどん下がるだろうし、どれだけ貯め込んだとしても安心できる訳ではない。だから、それより私が元気に長く働き続けられるように気を付ける方が、きっと正しいよね。
今迄は兎に角こなせる限り目一杯働いていたけれど、今年はゆっくりに切り替えて、休みもしっかり取って、家族との時間を作るのだー。
うちの患者さん達と一緒に、私自身もこの村で幸せに長生きしていきたい。というのが、新たな目標。
そして、「足るを知る」どころか、「足るに及ばず」生活が長かった私達が、当時本当に色んな人に御馳走して貰ったり支援物資を送って貰ったりした、あの有難さはきっと一生忘れられないと思う。
こんどはおらが村のスポーツクラブの屠殺プレート。この前のに感動していたら、テニスクラブの患者さんに「あんなの」と鼻で笑われ、「うちの方がずっとおいしいから、食べに来て!」と言われたので、食べに行った。 甲乙つけがたい美味しさで、その身贔屓っぷりが愛おしい。
人口1300人強の村でも、照明付きのサッカー場がちゃんとあるよ。
食堂にはずらりとトロフィーや盾が並んでいた。