2022/09/28

買い物、その後




秋めいてきました。朝晩の気温はもう一桁。
妹こぐまが風邪を連れ帰ってきて、私にべったりしながら咳をするので当然うつされ、ちょっとしんどかったけれど、ヨギティーとマヌカハニーとビタミンCとコエンザイムQ10と薬草で乗り切った。




ストラスブールの本屋さんで買ったポスター、1枚はここに落ち着いた。




裸電球がぶら下がっていた台所に、ランプがついた!医院に買ったのと色違い。イメージ通り、ドンピシャー♪ (あとは換気扇か・・・)
大分前に買って、例の如く箱ごと放置されていたのだけれど、週末に北欧ネットショップが大セールをやっていて、「これを取り付けて、どんな感じか見てみない事には、次の部屋の照明が注文できない!ランプ、欲しいでしょ」とプレッシャーをかけたのだ。
夫は最初に買った医院のが凄く気に入って、「他の部屋にも同じのを買って!」と言っていて、私がその後まず一つしか注文しなかったのをいたく不満がっていたのだけれど、いや、台所にはよかったけれど他の部屋には私はやっぱり違うのがいい、という事がこれで判ってよかった。
また腱鞘炎になりそうな位クリックして色々写真を見て、セールであれこれ注文できて、ほくほく。

実物を見て買えれば一番だけれど、ネットで買うしかない場合の私の注意点は・・・
  • 素人の写真をなるべく沢山検索してみると、感じがわかる。
  • 取り付けたいところをあちこちから見ながら、想像力を働かせて頭の中でランプを取り付けてみて、ピタリとくるかどうか。
  • モデル写真の空間が似ていればかなり安心(例えば寝室とか、居間とか、廊下とか)。
  • 様子を見ながら、合う物を少しずつ買い足していくこと。そもそも高いし、一気に揃えようとすると妥協が混じる。隣り合うランプなどは、付けてみた感じを見ながら相棒を探す方が確実。

夫も、プレッシャーを掛けるとすぐに殻に閉じ籠るものの、それを乗り越えて一つでも進んで「おお、素敵になった!」というのが目に見えると、俄然やる気が出て次に繋がるみたいなので、少しずつ、少しずつ。
何かやらせてクタクタになるのを見ると可哀想に思うものの、たまには無理してでも目に見えて前進すると、その達成感が自信に繋がるしね。匙加減が難しいけれど、余りにも許容していると私も嫌になっちゃう事があるし




新しく買ったフライパンの慣らし中。じゃが芋の皮とか傷んでいたところとか、野菜屑なのにこんなにおいしそうになっちゃって、皆が「何作ってるの?いい匂いー!!」と食べたがって、困ったよ
説明書に「食べないこと!!」と書いてあったのは、それでか。





にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ 

2022/09/25

うちのフライパン達





フライパン選びは、自分がどういう用途で使いたいか、だと思う。うちのフライパン達は、一つずつ買い揃えていった、どれもなくてはならない、私の宝物。使い勝手の感想は、飽くまでも私の個人的なものだし、今迄に書いた事もあるのだけれど、今回まとめてご紹介します。




錬鉄のフライパン、ドイツTurk社3人組。

左:サイズ28、1.5kg。20年近く使用。
私のフライパン人生は、これでスタートした。柄が細めなので、鍋つかみを使わずに持つと、ちょっと手が痛い。私にとっては片手で持って動かせる限界位の重さ。
使っているうちに、底がちょっと反ってきたけれど、私は特に気にならない。底面積が広いので、いっぱい並べて焼ける。

ただ、オムライスの時にちょっとやりにくいんだよなー、もう一回り小さくてこぽっとしたのも欲しいなー・・・と長年思っていて、遂に買っちゃったのが真ん中。まだ届いたばかりだけれど、大きさも持ち心地も、こういうのが欲しかったん!というドンピシャの感じで、使うのが凄く楽しみ。
口径24cm、底の直径17cm、高さ3.2cm、重さ1.3kg。

右手前:ハンバーグにのせる時にまん丸の目玉焼きが作りたくて、買ったもの。ラクレットの時も、これを使うと断然おいしいので、結局6個揃えた。但し持ち手は熱くなるので、子どもに使わせる時は要注意。




左:鋳鉄のフライパン(アメリカLodge社、サイズ26、底の直径21cmくらい。2.6kg。8年使用)
素晴らしく使いやすいけれど、非常に重く、且つ柄が短いのでバランスが悪くて持ちにくく、柄の向かい側の小さな持ち手が必須。ステーキなど置きっ放しで焼くものにいい。深めなのですき焼き鍋としても使える。

右:銅のフライパン(ベルギーFalk社、2kg。3年半使用)
最近の「銅のフライパン」はアルミニウムに薄ーい銅を被せてあるだけのものが大半だそうなのだけれど、ここのは全く逆で、厚さ2.3mmの銅に0.2mmのステンレスが、特許のやり方で被せてある。内側がステンレスなのでフライパンに風味が染み込まず、お肉用とお菓子用とか分ける必要がないし、扱いが凄く簡単。
うちのは底の直径19.5cm、口径25cm。これより大きいのは重くて私には無理だった。オムレツやカイザーシュマーンなど、ふわふわに出来る。

中央奥:鉄の中華鍋(スウェーデンL'Arbalète社、底の直径23cm、口径33cmくらい、約1.7kg。十年位使用
99%鉄で、有害物質は入っていない。出荷する時にも化学薬品ではなくビーワックスで錆止めされている。電気コンロで使えるように底は平ら。持ち手も鉄なので、オーブンに放り込む事もできる。大きい割に軽い。
ポロポロ外にこぼれる心配をせずにガンガンかき混ぜられるように、これは大きいのを選んだ。冷まそうと息を吹きかけるとスプーンから吹き飛ぶ位、パラリとしたおいしい炒飯ができるよ。
使ってみての注意事項は、洗って火にかけて乾かす時、油を少し塗らないとうっすら錆が出る。トマト料理には鉄の味がつく。




玉子焼き器3人組。

右:鋳鉄の玉子焼き器(南部鉄、及源盛栄堂の、12x16cmくらい。十年位使用)
お弁当のおかずを、ちょこちょこっと炒めたい時とかにも重宝。オムレツサンド弁当とか、卵とじ弁当とかに活躍。

左:銅の玉子焼き器(工房アイザワの純銅、純錫引き。6ー7年使用)
玉子焼きを作るには、断然これ。お弁当用に卵1個でも出来る小さいの(12cm)を最初に買って凄く気に入り、おかずとして並べる時にちまちま焼くのが大変なので卵3ー5個用位の大きいの(18cm)を買い足した。




私はテフロンなどの加工フライパンは、調理には使わず、こういう風にシュペッツレとか寿司飯の器として使うだけ。くっつかないので便利。

鉄のフライパンは、味が全く違うし、ちゃんと加熱すればくっつかないし、洗うのも簡単で、一生どころか次の代にも譲れそうな耐久性もあって、値段も高くない。と、いいとこ尽くし。
洗うのは、洗剤なしのお湯だけで、金属たわしでゴシゴシ洗って、コンロでさっと加熱して乾かすだけ。(鋳鉄のは、熱い時にいきなり冷水で洗うと割れる事もあるらしいので、かならずお湯で。)
但し高温で焼く時には、油煙がもうもうと立つので、きちんと換気しないと火災報知器が反応するし、床がつるつるになってしまう。

銅は高いので長年思い切れなかったのだけれど、卵料理にはその価値あり。是非味較べして欲しい。銅は鉄の5倍、ステンレスの20倍、熱伝導がよいのだそうで、納得。但しIHにはダメと思う。(あ、今度、作り較べ記事やってみようかな。)
例えばスクランブルエッグを作った後の熱々のフライパンにミートソースを入れると、ほぼ瞬時にぐつぐつ温まるので、別鍋でソースを温める必要がなくて、洗い物が少なくて済むよ。




ねえ、もうちょっと機械を使ってもいいんじゃないの?という位、いらんところまで手作業。でもまあ、この効率の悪そうな感じが、なごむわー。



(↑Amazonリンク)
アイザワ12cm

(↑Amazonリンク)
アイザワ18cm





にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ 

2022/09/23

芸者さんとママ


芸者さんの絵葉書が出てきた。
妹こぐまが見て、「ママの方がきれい!」なんて嬉しい事を言ってくれる。

のだが、そこは妹こぐま。喜ぶのは早かった。



「そりゃ、ママの方がかわいいよー。

だって、ママはこんなに顔白くないもん



・・・それじゃ「バカ殿よりは可愛いよ」と言われたのと変わらんやん。






小学校の最高学年(4年生)になった妹こぐまは、初めてのお泊り読書会。
寝袋を持って行って皆でごろ寝するんだって。肝試しみたいな事もやるらしいので、小学校から見える窓にハンス君を立たせて見守らせてみた。子どもは目がいいから、さあ、誰か気付くかな。





にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ 

2022/09/20

スクランブルエッグの作り方



スクランブルエッグはあっと言う間にできて、おいしくて、大好き。家族がパスタを食べる時には、糖質制限のある私はパスタの代わりにこれ。
ちょっと物足りないなという時の「もう一品」にも、相手を選ばず、簡単で、洗い物も少なくて済む。こんなもので「ママがお休みでよかった!」としみじみ言ってくれるなんて、お安いご用!
こぐま達が「どうしてママのはおいしいのかなー」と不思議がるので、夏休みに動画を撮ってみた。(のに忘れていた。)




出来たての熱々ふわふわに、辰巳芳子さんのボロネーゼソースをかけて食べると最高。




パパに教えて貰うと、こうなる。あーあーあー。
こうしちゃったフライパンを洗うのは、私以外の手には負えない。




でも、こんな姿で「ママへ」と作ってくれたら、何でも許せちゃうし、最高においしく感じるのだ。それにしても、小さかったなあ!

うちのフライパン達はまた今度ご紹介します。



(↑Amazonリンク)
サルサ・ボロニェーゼ♪



(↑Amazonリンク)
この錦弁当の卵も凄くおいしい。





にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ 

2022/09/17

ちょっと愚痴と、ドイツの野生動物園


夏休み後の一週間がやっと済んだ!
郵便物やメールが溜まりに溜まっていて、待ち構えていた患者さん達もいて、金曜日の終業後は流石にふらふらになってしまった。でも、大きな混乱はなかったので上等。

ただ、久しぶりに家庭の現状に気が滅入り、理由もなく突然あれこれ凄ーく嫌になってしまった。そりゃ、少し前のどん底時代の事を思えば、手が掛からないどころか、家事は殆ど任せられるようになっていて上等!なのだけれど、もうちょっとましな暮らしがしたい。
幸い今回は前のアパートみたいに汚部屋にはなっていないけれど、折角の夢の家なのに、物が山積みになった中での生活にも、うんざり。それが嫌で、私の夢のリビング・ダイニングにも食事の時しか行かなくなってしまっていて、仕事が終わっても医院に引きこもってネットの世界に逃げている。
いっそ、私の物をリビングに追い出して、夫に一部屋まるっとあげてしまうか。自分の物ならそれなりに整理できるもんね。

私が我慢ならないのは、きちんと整理して置いた私の物の上やら前やら隙間やらに、色々ぐちゃぐちゃ置かれて、自分の物にアクセスできなくなったり、自分の物が汚くなる事。あと、物置きなら奥から並べればいいのに、入り口や通路近くに突っ込んで積み上げるので、奥がガラガラなのに歩きにくくなる事。
もうこれは、完全に自分のエリアを分けるしかないんだろうな。

色々と頼んだ事も、「寒いから」と言って延ばされていたのが、「暑いから」に替わり、このまま行くとまた「寒いから」になっちゃうよ。
屋外の仕事なら「今日は雨」「雨の後で濡れている」・・・もうね、ハメハメハの子ども達より酷い。かと思えば、無理やっちゅうのに猛暑の午後に外に出て、すぐにギブアップして、「何かだるい」と何日も寝ていたり。こっちはそんな事言える身分じゃなくて、自分の体に鞭打って働いとるんじゃ。

なんて悶々と考え出したらどんどん腹が立って眠れなくなってしまって、いかんいかん。という訳で、閑話休題。
気を取り直して、夏休みの楽しかった事の振り返り。

* * * * *

この辺には、あちこちに野生動物園というものがあって、地元の野生動物を、何キロにも渡る広範囲で囲って保護している。他所の地方はまた違うのだろうけれど、ここ黒い森では勿論、森の動物。




こういう感じで、森の中の区域を柵で囲ってあって、その中に動物がいるのだけれど、何しろ広範囲なので、行っても動物に会えない事もある。

昔住んでいた町の野生動物園は、更に動物園の区域全体をもう一重に柵で囲ってあって、木の柵でできた扉を開けて入っていくようになっていた。
道は整備されているし入場無料なので、子連れの散歩にはとてもいい。

ただ、そもそも森のやや奥の方にあるので、動物園の区域に辿り着くまでに結構歩かなくてはならない。今回は初めて行ったところなので、私も道が合っているのか自信がなかったところに、根拠もなく「ぼくはこの道じゃないと思う。こんなとこにないよ」「ぼくもそう思う」とブーブー言う二人がいたのだけれど、動物園の柵が見えた途端に黙った。あやまらんかい!




猪って、弱肉強食とまではいかないけれど、もの凄いボス社会なの。昔、鼻づらで子どもを弾き飛ばして餌を奪うのを見た時には驚いた。うりぼうのキューッという悲鳴が、二十年近く経った今でも耳に残っている。




こぐまが、「どうして縞々がないのー?」と不思議がっていた。春に生まれて、もう秋だからかな。




立派な角を持った鹿もいた!
雨が降りそうになってきたし、余りの広大さに、この二つのエリアでギブアップ。




兄こぐまはボディビルダーの真似をしているところ。それにしても体積が増えたな・・・もうすぐ負けそう。足の大きさは既に超されてしまった。

くさくさしていたのは一夜だけで、また気を取り直して、改善策を考え始めたし、色々と楽しい計画も立てていくので、どうぞご心配なく!





にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ 

2022/09/15

騙され(かけ)た


スパムメールもどんどん巧妙になってきて、初めて騙された!
と言っても、途中で気付いたので、多分被害はないと思うのだけれど。

荷物の配達ができなかったので確認お願いします、というメール。
うちなど、田舎でお店も少ないので、買い物はネットで済ませる事が多いし、荷物はしょっちゅう届く。運送会社も新しくできたり、小さな下請けがやっていたりで、知らないところもある。

あれー?家に居た筈だけど・・・とは思っても、たちの悪い配達人だとベルも鳴らさずに不在だった事にして持ち帰るなんていう事もあるし。何も考えずにパッとクリックしてしまった。最初の何クリックかは、ごく普通に「次へ進む」という感じ。
しかも、クリック先はとてもきれいに作ってあって、第一印象では違和感を感じさせない。

で、残念ながらもう忘れてしまって、今もう一度開くのは怖いので確認できないのだけれど、途中で何か違和感を感じたのは、内容だった気がする。
普通なら「何日何時にお届けに上がりました」というのが書いてある筈なのにそれがない、というのが引っ掛かったのかも。





「おや?」と思ってメールに戻って、よく見れば、色々おかしいやん!
件名が「Re」になっているし、メールアドレスがUK。差出人の名前が「確認が必要」。ひえーっ!と、兎に角慌てて電源を切った。

夫に見せたら、「多分これは個人情報を聞き出すためのもので、ウィルスはないと思う」との事でほっとしたのだけれど、クリック一つでもうアウトというタイプもある訳で、それだったらもうやられていたんだな。
もっと気を付けなくちゃ!!

少し前に「ユーロポールからの電話」という詐欺があったけれど、それは既に情報が回ってきていたから、話しを聞かずにすぐ切る事ができた。
ので、これもここで情報共有しておきます。皆さんも、どうぞお気を付けて。





にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ 

2022/09/13

我が家のビフォーアフター


よく訊かれるので、前回紹介したパネルに続き、新しく改築工事のパネルを作ってみた。

基礎もない上に建っていて、木もボロボロになっていたのが、これで判ると思う。
もともと納屋というのは、上等な木は使っていないし、住居よりも軽いので、ざっと建ててある。だからもう救いようがなかった。

ただでさえ昔の家は天井が低く、うちの母屋も私が手を伸ばせば天井に触れる位。しかも断熱など特にしていなかったのでその分の厚みも取られ、高さが足りない!のオンパレードなので、基礎を作るためには一旦掘り下げなくてはならなかった。納屋の下には、丸天井の地下室がこれまた基礎なしで鎮座している。この地下室と前室の石壁を残す事を条件に、州から助成金が貰える事になった。
ところが古い丸天井の地下室というのは、工事を始めたら崩れてしまう事は結構よくあって、そうなると土砂で埋めてしまうしかないのだけれど(そして、それ迄に注ぎ込んだ工事代が全て無駄になるうえに、助成金も出なくなる)、埋めるとまた家のバランスが変わってしまうので、埋めれば済むという訳でもない。それで工事前に静力学の専門家が来て、色々計算してくれたものの、本当にどう転ぶか判らない感じだった。

隣家に近接している側は、新築なら許可されない近さだけれど、元々そのように建っていた家の「改築」なのでOK。但し全て防火壁にして(なので外壁にも木材は貼れない)、窓無しにすること(火事になると窓から火が吹き出すので)が条件。




一番左下の写真が、買った時の状態。はっきり言って、通り(北東)側から見て美しい家ではなく、第一印象は「壊して建て直しだな」だった。
それが、この家の歴史を知り、納屋に惚れ込み、何とかしたくなった。凄腕の工務店の社長さんも、最初は「うちはもう予約が一杯で絶対に無理」と言っていたのに、家や納屋の中を歩き回るうちに夫と意気投合し、段々その気になってくれて、手が空くのを待てばやって貰える事になった。

母屋が5階のところを4階にしてもまだ高さが足りない位で、更に屋根の勾配があるので最上階は狭くて物置にしかならなかったのだけれど、そこに大きなドーマーを作る事で居住空間を作る事ができたし、家に顔がついたような感じになって、とても気に入っている。

でも、このドーマー以外は、家のシルエットは変えていない。上の写真を見れば判る通り、この家は村の中心部のよく目立つ場所に建っているうえ、庭(南西)側はいい形をしていたので、これは変えたくなかったのだ。

しかし、この「変えない」「残す」というのが、本当に金食い虫だった。
本当は、屋根だけでも母屋も一緒にやってしまった方がいいと言われていたのだけれど、もう全然お金が足りなくて追加ローンを組んだ位なので、これで精一杯。
でも、今は母屋は物置きとして使えるし、医院の拡張でも二世帯住宅でも、ぶち抜いてエレベーターをつけるとか、したくなったら何でもできる訳だから、中途半端にお金を注ぎ込むよりは、こうして手つかずで置いておくので正解だと思う。
そして本当にどうしようもなくなったら取り壊す事も可能なように、配電、配管など全て新しい方に入れ、完全に旧母屋から独立させた。

以前にも書いたけれど、外壁の木材は、選んだ見本ではピンクベージュがかった淡い淡いグレーで、この外壁材を持って来られた時には、何かの間違いじゃないかと思った位で、屋根や窓の色に対してきつ過ぎる!これなら屋根は茶色にしたらよかった!と大ショックだったのだけれど、何年か経てば見本のように色褪せていく事を願って、只管待っているところ。


関連過去記事

2022/09/10

我が家の歴史


私達が買ったのは、1822年に建てられたユダヤ人の家だった。

うちの村は1275年にヨハネ/マルタ騎士団が設立し、村の紋章も騎士団の十字。
そして30年戦争の頃から約300年間に渡り、ここに大きなユダヤ人コミュニティができ、一時期は住民の過半数がユダヤ人だった位。うちの村のユダヤ人墓地は、何とBW州で一番大きいのだと聞いて、びっくりした。
ナチの時代になっても、かなり長い間(新しい村長がナチから送り込まれる迄)、上手く共存できていた珍しい村。雲行きが怪しくなってきた頃、ユダヤ人青年グループが無事にイスラエルに脱出できた、数少ないコミュニティのうちの一つなのだ。




買った時は左上写真の状態で、向かって左半分が母屋で、右半分が納屋と地下室。納屋は木が虫食いと風雨で朽ちてきていて、もう限界近くまできていた。
そこで納屋を建て直して、下に医院、上に住居を作った訳。その際、家のシルエットはなるべく変えないようにした。

この納屋を取り壊したら、左半分の母屋が傾いてきて、工務店の社長さんが大慌てであちこちに支柱を立てて止めたり。地下室も基礎なしで建っていたので、一旦掘り下げて基礎を作ってからまた床を戻すという大変な作業をして、何とか潰さずに済んだり。
うちの前の道は道幅も狭くて急坂で、大きなトラックを停めたり荷物を置く場所も余りなく、取り壊しも主に手作業になった。職人さん達、皆よくやってくれたもんだ。




これは医院にかけてある、職人さん達への謝辞。
写真左上の作業所で壁を作って用意している。ホール一杯のこれ、全部うちの分。用意しておいたのを持って来て、一気に組み立てるの。
医院は各部屋に洗面台が必要だし、ケーブルなども非常に多く、足の踏み場もない位の配管・配線だった。




医院の待合室には、この家に住んでいたユダヤ人の家族写真と共に、家の歴史をパネルにしてかけてある。
うちの村にはユダヤの歴史を研究し保存する会があって、彼らから資料を貰って作ったの。

そしてこの度、写真の矢印の男性の子孫達が、イスラエルから遊びに来た。普通なら毎年のように来るのだけれど、コロナで暫く来られなかったんだって。




いっぱい来た!皆、凄く凄く喜んでくれた。
実はこの家を皆で買いたいと言っていた位、彼らには大切なルーツらしい。でも、外国で古い家を買っても管理できないし、もう少し放置していたらそろそろ危なくなっていたと思う。

そして、私達にこの家を売ってくれたおばあさんとその兄弟も、この家で生まれ育ち、皆この村に住んでいる。
納屋の工事が始まった時は相当悲しかったみたいだけれど、医院として生まれ変わったら、それはそれでOKになったみたい。母屋がまだ手付かずで残っているしね。

はっきり言って、全部取り壊して新しく建てた方が簡単で安く済んだのだけれど、それをしなかったのは、こういう歴史があったから。

大変だったけれど、こういう形にできて、本当によかった。





にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ