2023/02/11

ママ、たいへん


夢を見た。

私は高校生で、大好きな先生のところに進路の相談をしに行った。
もう夕闇で薄暗い廊下に、まだ残っている先生の部屋の光が差し込んでいて、ドアの後ろに先生がいると思うと、開ける時に心臓がトクンとした。
向こう見ずに「私、医学部に行こうと思うんです」と言ったら、呆れもせずに「そう」と受け止めてくれた。

もっと先生の姿を目に焼き付けていたかったのに、そこで目が覚めてしまい、もう先生はこの世に居られないのだと気付くのに少し時間が掛かり、改めてがっかりし、心臓のトクンとした感覚だけがまだ生々しく残っているのが侘しかった。


起きてから、その日の仕事は凄く大変で、お昼休みどころか「一口お水が飲みたい!」と思いながら夕方まで続けてしまったり、チョコレートでのドーピングが必要になった位で、久しぶりに頭痛まで。書類も全部終わらせたら、もう晩になっていた。

おまけに今週は、患者さんの苦しみを見て、喉元がカーッと熱くなる位腹の立つ事も幾つかあった。

また、心電計のトラブルでメーカーの技術者とやり取りし、夫に実験台になって貰おうと思ったのに、そこに寝転んでいるだけでいいのに、「具合が悪いから」と断られた。寝室のベッドで寝ているくせに。やっぱり私は一人で背負わなくちゃいけないんだ、と、改めて思い知らされて、ちょっとショックだった。

晩にふらふらと住居に上って行ったら、兄こぐまが「ママ、たいへん!」と叫んで飛んできて、ぎゅーっと抱き締めてくれたので、涙が滲んでしまった。
兄こぐまは、いつもなら自分はどっかり座って動かず妹こぐまを顎で使うのに、「ママ、あれいる?これいる?」と甲斐甲斐しく気を遣ってくれて、台所まで小走りで何か取りに行って、戻って来たらまた抱き締めてくれたり。




十年前、ストラスブールのPAULで。

こんな小さかったこぐまが、私をすっぽりと抱き締めてくれるようになるなんて。大きくなったなあと思う反面、まだ子どもなのに夫の代わりに労ってくれるようになるなんて、申し訳なさも一杯。




この歌を聞くと、自分に語りかけられているみたいで、
心は少女時代に戻る。






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19 件のコメント:

  1. 優しいお子さんに育ってますね。

    ネット越しですんませんが、とりあえず、
     ぎゅぎゅぎゅーっ!!!!(ハグ)
     よしよし、よしよし(頭なでなで)

    ついでに失礼ながら、
    「扶養家族は大黒柱の実験台くらい自らすすんでやりたまえー!」

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    1. penguinophileさん、こんにちは。
      うふふ、ハグとなでなで、嬉しいー。
      実験台と言っても心電図を取るだけなので、本当にじーっと寝ているだけでいいんですよ!
      仕方がないから私が寝て、スタッフにスマホで色々と写真を撮って貰いましたが、動いたり喋ったりする度に心電図が落ち着くのを待たなければいけないので、手間が掛かりました。もう。

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    2. 人体実験なら私だって嫌ですけど、寝てるだけの実験台なら「どうせ寝てるんだからその胸を貸せ!」って話ですよねぇ。

      「梨の木」さんのコメントを読んで、子供が親を見る視点は成長に従って変わるよなぁ…と思いました。
      子供の頃の私は、母は怒りっぽく父は穏やかだと思っていました。でも今になって振り返ると、性格の問題ではなく、当時の母は仕事+家事+育児でキャパオーバーだったし、父は早く帰宅しても「ご飯が出来るのを待っている」側だったから穏やかに振る舞う余裕があったのでしょう。

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    3. penguinophileさん、こんにちは。
      そう、寝てるだけなのに!どうせ寝てるのに!もうツッコミどころ満載で、無言になってしまいましたよん。
      そして、確かに。でも、その無責任な(失礼!)穏やかさが子どもの「その時」には大事だったりして、だからよい事も悪い事も、それぞれの側面があって、それぞれの役割があるんだろうなあ、と思います。

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  2. お疲れ様!
    こぐまくんが頼もしいね。心も体も大きく成長したね。
    これからの成長が楽しみ!

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    1. mさん、こんにちは。
      こぐまは極端なパパっ子で(と言うかパパに抱え込まれていた感じ)、私には殆ど抱きついてこない年月が長かったので、最近くっついてきてくれるのが嬉しいです。

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  3. 梨の木12/2/23 09:34

    こぐまくんは小さい頃から繊細さを感じるお子さんだったけれど、その繊細さがしっかり優しさや人への思いやりに結びついて、あぁいい子に育ったなぁと(近所のおばさん目線で?)読みました。小さい頃はパパっ子でも、大きくなってきた今はママの孤軍奮闘ぶりもちゃんとわかるようになったでしょう。疲れているくまさんを労ってくれる人が傍にいて、本当によかった。

    お疲れ様のクマさんに、わたしもパリから大きなハグを送ります(ほんとは近くのアルザスまで行って送りたかったのよ。涙)。

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    1. 梨の木さん、こんにちは。
      ハグ、嬉し~♪
      兄こぐま、ギムナジウム2年目になって、随分変わりました。家庭がめちゃくちゃで、学校でも居場所がなくて、本当に可哀想でした。

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  4. かなぶん12/2/23 21:17


    「そうと呆れもせずにと受け止めてくれた」そんな
    先生がお気持ちを届けて下さったような夢ですね
     
    パパも今日は調子がいまいちだったのかな それにしても
    頼もしい素敵な息子さんに成長して 羨ますぃです

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    1. ひかり13/2/23 02:07

      私からも、ぎゅー!!!!
      男の子は優しいと思いますし、こぐまくんはちゃんと
      根っこの部分が育っているのだと感じます。
      くまさんが罪悪感を持たなくともダイジョブだと
      思います!

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    2. かなぶんさん、こんにちは。
      もう亡くなられて20年位になる先生に、未だに支えられています。

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  5. ひかり13/2/23 02:09

    ん?なんかほかの方のコメントに返信した
    みたいになってる!失礼しました!

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    1. ひかりさん、こんにちは。
      ぎゅー有難う♪
      ダイジョブよ、DJ!って、GJみたいね。ひひ。

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  6. もしも。。心電図の結果でまた病名がつきそうなら困る。。って逃げた?のでは。。

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    1. fuskさん、こんにちは。
      逃げたには違いありません。まったく、ねえ。

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  7. 初めて聞く歌だけど、私も涙が出そうになりました。
    こぐま君はちゃんとママの事を見ていますね。子供は本当に中立の目で見ています。結婚式でママは我が家の大黒柱。と言われちゃいますかもね。ふ、ふ、ふ。
    夫君はやっかみが少しとプライドも邪魔して、、、。自分の夫じゃなかったら見えてくるのですがわが夫の時は腹立たしさと悲しさとの入り混じった感情を飲み込みました。遠い昔のことですが、、、。今は断られたら、あら、そう。でおしまいです。(笑)

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    1. cocoさん、こんにちは。
      余りにもツッコミどころ満載で言葉を失い、「あら、そう」すら出てきませんでしたー。たはは。

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  8. 兄こぐまちゃんの成長ぶり、うれしいですね。ちょっと前に、パパやママにやってもらいたいから…と言っているというお話で、そうやって思いっきり甘えられるという気持ちになれたのも最近なのかも、と思いましたが、ピンチと思えば自分がさっと動ける、なかなかいい男ではないですか。

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    1. melisandさん、こんにちは。
      そう、仰る通り、甘えられるようになったのも我が家の大きな進歩だったのです!で、それが更に進歩して、じーんとしてしまいました。

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