2026/08/26

ドイツの離婚について


日本の離婚は紙切れ一枚でもできるけれど、ドイツの離婚は大変(結婚した国の法律で離婚する事になるのだとか。なので、たとえ日本人同士でも)。

私は専門家ではないので正確ではないと思いますが、昨秋に弁護士さんと税理士さんから聞いた事をそのまま、ざっと豆知識として横流しします。必要な方は、自分できちんと調べ直して下さい。
どちらも相談は時間(分)当たりで支払うのが普通なので、ネットなどで予習して、自分が何をしたいのか、その理由や譲れない点をまとめ、質問を用意しておくといい。

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離婚する前に、まずは1年間の別居が必要(離婚裁判は10箇月経てば始められる)。家庭内暴力やアル中などの場合は、別居期間をすっ飛ばす事もできるのだけれど、かなりドロドロの大変な事になるのでお薦めしないと言われた。

別居は家庭内別居でもいいのだけれど、公証人役場か弁護士を使って、開始日をきちんと証明できるようにしておくこと。
片方が別居を求めれば、もう片方は拒否する事はできない。
家庭内別居というのはシェアハウス(WG)のような感じで、寝室を分けて自室を持つ事と、それぞれが自分で生活する事が必要。あとは共有スペースで構わない。

そして、離婚には裁判が必須。

お金の分け方は・・・

  • 結婚後得た財産は、公証人役場で夫婦財産の別産制(Gütertrennung)や放棄宣言(Verzichtserklärung)などをしていなければ、名義を問わず全て、離婚時に半分ずつ。
  • 所有不動産については、公(öffentlich bestellter Gutachter)に、現在の価値を計算して貰わなければならない。例えば家が古くなって価値が下がる事もあれば、逆に物価上昇で価値が上がる事もある。売り払って半分ずつするか、片方がもう片方から買い取るか。
  • 銀行口座については、離婚成立日の口座残高だけでなく、別居開始日の口座残高も計算に使われる。夫婦の年間収入額は、収入から保険・税金・年金・ローンなどの支払いを引いた分。
  • 別居が年の変わり目を跨ぐ場合、最初の年は夫婦一緒の計算で納税、次の年は別々の計算で納税。
  • 個人の年金も、お互いの受給(予定)額を半分ずつ分け合う事になるので、格差があったとしても無くなる。
  • 個人のローンは、共同責任(Bürgschaft)のサインをしていない限り、そのまま。これは半分こにしない!
  • 片方に収入がない場合、別居中及び離婚後1年間は、今迄の生活レベルが保てる程度の仕送り。
  • 子どもを養育する側に、しない側が養育費を支払う。これは収入の有無に関係なく。

これらの内容に関しては、弱い立場の主婦が守られていて、基本的にはとてもいい事だと思う。

でも、私の立場になってみて。内助の功どころか負担を増やすパートナーを抱え、一人で二人分働いて何とか家を建てて火の車の家計を回しているのに、更に家の半分をもう一度相手から買い取っての二重払いになるのだ。しかも医院というのは商業用不動産なので色々複雑で、私が買い取るのは相当高くつく。
買い取るための新たなローンを通すのは勿論、夫婦共同のローンを私個人に組み替えるだけでも、恐らく相当難しい。(現実に支払っているのが私一人でも、共働き前提の二人分枠で何とか通せた金額なので)
「離婚したら?」なんて、そう気軽に言えるものじゃないのよ。

因みに離婚にかかる費用は:不動産の価値計算(計算して貰うだけで、何十万円!)、弁護士、公証人役場、裁判。夫婦共同のローンを個人に組み直したりすると、銀行にもがっぽり取られる。
どれも、「扱う金額の何%」という料金計算が多いので、不動産があると相当きつくなる。

裁判というのは、居住地によって管轄の裁判所が決められていて、幾ら傍聴不可で守秘義務があっても、田舎だし、開業医として働いている立場で、家庭内の問題を晒すのは、かなり嫌な感じ。

はっきり言って、「なんで私、日本で結婚しなかった?!」と思ったわ。
(日本式で協議離婚すると、裁判の記録がないのでドイツでの再婚は難しくなるけれど、再婚なんてしたくもないし。)

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それでも「もうお金の問題じゃない!」と、離婚に向けて色々と準備して、今迄9か月間、非公式に家庭内別居してきたのだけれど、現時点での結論としては、私はやっぱり離婚しない事にしました。
一番の理由は、この9箇月間はほぼ安定していて、こぐま達にとっての彼の存在のプラス部分とマイナス部分を天秤にかけたら、プラスになったという事。

「離婚だけしておいて、安定している間は同居(いつでも放り出せる)」というパターンも考えたのだけれど、どうせ一緒に居るのなら、役所や銀行に大金を支払うのは、私にとって無駄な苦しみになる。

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今回こういう事になって実感したのは、ドイツの結婚の重さ。

日本社会では、法ではなく倫理として、大人になっても「親が子に対して責任を負うのが当たり前」という部分がある。

ドイツ社会では、成人した子に関しては、全く何の義務も責任も問われない。成人したら、子は自分の人生を自分で背負って歩むべきで、子が悪い事をして親が謝る事もなければ、子が路頭に迷う事になっても引き取らなくていい。もし、成人しても自立できない事情があれば、親ではなく社会が面倒をみる。
(義実家が夫を一時的に引き取ってくれたのは、親子の責任感とかではなく、「こぐま達が苦しんでいる。子どもというのは大人が守るべき存在」と、義妹が主張して、義両親を説得してくれたから。)

それに対して結婚は、自分の意思で作る運命共同体で、相手の分も背負うという契約。だからそれをやめるには、きちんと裁判もしなければならず、弱者が泣き寝入りする事のないようにする。

どちらがいいとか悪いとかではなく、違いをしみじみ感じさせられた。




十日目で小さくなった花束。
まだ嬉しく思えないけれど、結婚22周年。



6 件のコメント:

  1. ひかり28/8/26 12:20

    お国変われば、色々と違うものですねえ…
    こんなに離婚が大変だとは…日本だと本当にさっさと離れる人が
    増えています。
    家族の考え方が本当に違いますね。考えさせられました。

    それぞれの家庭の中で、距離の取り方、
    或いはバランスのとり方が色々ある訳で、
    それは外側の者がああだこうだ言う事ではない
    と思っています

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    1. ひかりさん、こんにちは。
      そうなのよ、根本の考え方が大分違うし、だから大変。
      でも、離婚した場合どうなるかの内容がきちんと判って、税理士さんからも金銭面を「大変だけれど可能」と言って貰えただけでも、大進歩でした。色々と解っていないと、巨大なモンスターに向かっているような感じだったの。
      ひかりさんには長らくご心配をおかけしています! いつも有難う~。

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  2. ドイツの離婚事情、確かに弱い立場に置かれがちの専業主婦を守るであろう考慮がされていますね。カナダでも5年ほど前に同じ様に「全てを半々」に分けるという大きな改定があったようです。それまでは、A夫が買ったものはA夫のもの、というような法律だったそうですが。

    10ヶ月の別居期間も、現状を見極めるという意味では良いものなのかもしれませんね。天秤にかけたときに、プラスの面の方が多かったことは嬉しい発見です。法律機関などに分単位でチャージされて支払う大金、想像するだけでぞっとするし悔しすぎますもん。
    くまさんたちのやり方でバランスよく過ごせていければ、それが一番だと思います!

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    1. papricaさん、こんにちは。
      そう、めっちゃ大変なのですが、裏を返せば、それだけ全てきちんと決めさせるという事なので、悪くない事だと思うのです。ただ、戦い過ぎて双方全てすっからかん、というのもままあるようです。
      この9箇月間、私にとってのプラスは殆どなかったのですが、それ以前のような大きなマイナスがなかったの。そして、こぐま達にとってほんの僅かでもプラスがあればOK、と思えます。

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  3. かえで29/8/26 17:58

    日仏両方に住んだ経験から、読んで、納得できることがありました。フランス時代のママ友たちの中には、離婚して、シングルで仕事、子育て、恋愛、再婚をしている人が多いのです。一方、ドイツ人と結婚している日本人の友人や同僚の中には、離婚したくても難しいので諦めている人が何人かいました。私は、まさに、「離婚したら?」って言っていた身なのです。ドイツの離婚が、ここまで難しいのは、知りませんでした。(フランスも昔は、難しかったんですけど。あと、ひとり親に対しての国からの援助がまあまあいいというのもあると思います。)
    くまさんは、納得して、現在のところは、このままでいらっしゃるということで。主体的に生きていらっしゃるところに憧れます。どうぞご自愛を。

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    1. かえでさん、こんにちは。
      そっかー、ヨーロッパ内での差には気付いていませんでした。
      ドイツの離婚は大変ですが、でもその分弱者が泣き寝入りせずに済み、弱者が安心して離婚できるシステムだと思います。
      ただ、私みたいに立場上は強者だと、非常に厳しい。望んで強者になった訳でもなく、しかも余裕なんてなく、無理して何とか支えてきただけなんだけどなー、と、ぼやきたくなります。
      有難うございます。身体が資本なので、気を付けます!

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